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東京高等裁判所 昭和63年(行コ)27号 判決

東京都豊島区南大塚三丁目三八番一五号コーポニュー大塚四〇三号

控訴人

喜田村洋一

東京都豊島区西池袋三丁目三三番二二号

被控訴人

豊島税務署長 槙總一郎

右指定代理人

田口紀子

小野雅也

浦川譲

青木与志治郎

佐藤謙一

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  控訴人

(一)  原判決を取り消す。

(二)  控訴人が昭和五九年八月二九日付けでした控訴人の昭和五八年分の所得税に関する申告納税額を二二万四九〇〇円とする更正のうち六万五二〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。

(三)  被控訴人が昭和六〇年四月三〇日付けでした控訴人の昭和五九年分の所得税に関する申告納税額を二四万〇八〇〇円とする更正及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。

(四)  被控訴人が昭和六一年六月三〇日付けでした控訴人の昭和六〇年分の所得税に関する申告納税額を七五万一一〇〇円とする更正のうち一七〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(いずれも昭和六一年九月二四日付けの更正及び変更決定により一部取り消された後のもの)を取り消す。

(五)  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

2  被控訴人

本件控訴をいずれも棄却する。

二  当事者の主張

当事者双方の主張は原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

三  証拠関係

原審記録中の書証目録のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決一九枚目表末行「そして」から裏六行目「いうべきである」までを、「したがって、夫婦財産契約の効果として、婚姻中の夫又は妻と第三者との間の委任契約、雇用契約又は請負契約の内容が当然に変更されるものではない。そして、ある収入が所得税法上誰の所得に属すかは、当該収入に係る権利が発生した段階において、その権利が実体法上相手方との関係で誰に帰属するかということによって決定されるものというべきであり、所得税法は課税単位を個人とし、その者の稼得した所得について所得税を課することとしているのである。控訴人主張の夫婦財産契約がこれからの原則を変更する効果を有するものでないことは明らかであり、控訴人が右契約によって夫又は妻が得る所得税法上の所得までも原始的に夫又は妻の共有に属することを意図したとしても、その効果が生じないことはいうまでもない。」と改める。

二  よって、控訴人の本訴請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法三八四条、九五条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山口繁 裁判官 根本眞 裁判官 森宏司)

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